今生はBL道楽

商業BLコミックを消費しつづけている。

余談の余談|BLに含まれるポルノ要素とやわらかい部分のはなし

 

 「BLってポルノでしょ」と言われる。それについて全てを否定する気はない。BL作品のなかにポルノ要素は確かにあるからだ。

 脊髄反射的にしてしまう反論として「BLにはいろいろある、エロだけではない」というものがあると思う。わたし自身、いろんな場面で使ってきてしまった言葉だけど、本当によくない反論だし、無意識のポルノに対する見下しが含まれていると感じる。

 BLにはエロも、エロじゃないものもあって、まとめてBLだし、エロがないから(あるいはあるから)良いとか悪いとか、そういう話ではない。明確な基準によりジャッジできない混乱のなかにある作品群をわたしは楽しんで消費しているのが実際だ。

 わたしはBLの中で、幸せなセックスも幸せじゃないセックスも、両方あることにほっとしてしまう。単純なセックスも複雑なセックスも。派手なセックスも地味なセックスも。いろんなセックスがあって(もちろん、セックスしない関係もあって)そのことを肯定も否定もされない、ことが最近の作品だととくに多いと感じる。関係の是非は少し横に置かれ、淡々とねじれた関係が描かれたりする。

 いまわたしの生きている社会は、ただ生きているだけで正しく、あるいは優れたものとしてあることを要求してくるけれど、正しくあれない、社会が求めるほど正しく収束していけないものたちの、特別すぎない「物語」が描かれていること。そのことにひどく安心する。

 BL作品をごくごく個人的な部分に照らし合わせながら読んでいる実感がある。

 自分の明らかな問題だとか、そういう話でもなく、言語化できないやわらかい部分で照らしながら読んでいる。だから、といっていいのかわからないけれど、簡単には他人におすすめできないし、おすすめすること自体、すごく慎重になる。相手の好みを把握したうえで、これならば、という形で差し出すことが多い。

 やっぱりBLは個人のすごくやわらかい部分に届くものだと思うのだ。

 それがポルノ要素なのかと問われると「どうかなあ…」としか言えないし、それだけではないけれど、無防備でどうしようもない部分の、ひとつの要素として、BLのなかに内包されているポルノをわたしは否定したくはないなと思う。